2000年4月・医療保険制度の改定で本当に0.2%値上げなのか? 医療機関は儲かったのか? |
中医協は0.2%医療機関の収入が増える改定であると発表しました。すると、ここぞとばかりマスコミは、患者負担が増えるぞ!、世間は不景気なのに、医者だけが儲けるぞ!、医師会のエゴだ!、などと書きたてました。
本当にそうなのか? 6歳未満の小児の医療保険点数は確かに増加しました。詳しい事は改めて書きます。 一般の診察では指導管理料、処方料はおおむね点数は増加しています。 これを単純に平均して、中医協は「 0.2%増えた」と言っているのです。 医師会も、我々会員向けに手柄にしようと 実際は、その後に厚生省の課長通達などによって、これとこれは一緒には算定できない、なんていう細則をこしらえていて、減少しているものも多いのです。 例えば、寝たきり老人を訪問診療していて、床ずれの管理をした場合には、床ずれの管理は算定できないことになってしまいました。その他にも、いくつか、こういうものがあって、たぶんそれをいれたら 0.2%アップどころかマイナス改定であると思います。マイナス改定なら、「マイナス改定である」と事実をきちんと発表してもらいたいものです。 実例を挙げます。 ○高血圧症・高脂血症でノルバスク(5)1錠・メバロチン2錠を2週間分づつ処方されていて、月に2回受診している場合の医療費総額を見てみましょう。 3月までは 薬剤情報提供料7点が月に1回。 ノルバスク(5)1錠19点・メバロチン2錠11点×14日=420点が月に2回 合計 1595点 4月からは 継続管理加算5点と薬剤情報提供料10点が月に1回。 ノルバスク(5)1錠18点・メバロチン2錠10点×14日=392点 合計 1633点この場合は2.38%値上げですね。一部負担も3割負担なら110円ほど増加します。 ○では同じ患者さんが同じ処方で、28日分の薬を処方され、月に1回しか受診しない場合はどうか、見てみましょう。 再診料とか処方料が 1回分になるので3月までは 1221点4月からは 1216点ということで、 0.04%値下げとなります。一部負担は3割負担で10円か15円安くなります。 ○次に脳梗塞後遺症・腰部褥創(とこずれ)でベッド上で生活し、月に2回訪問診療を受けていて、とこずれの処置など指導をうけている場合ではどうなのか。3月までは 寝たきり老人在宅総合診療料 2600点寝たきり老人処置指導管理料1100点 寝たきり老人訪問診療料820点が2回 老人薬剤情報提供料12点(健康手帳に記載)(飲んでいるお薬代は請求しません。総合診療料の中に含まれているのです。つまり何の薬を処方してもこの点数で診療します) 合計 5352点4月からは 寝たきり老人在宅総合診療料 2600点寝たきり老人訪問診療料860点が2回 老人薬剤情報提供料15点(健康手帳に記載) (処置指導管理料の1100点は一緒に算定できなくなりました) 合計 4335点というわけで、 1017点マイナスですから、19%値下げです。一部負担金は定額ですから今までどおりです。(老人の医療費一部負担の変更は7月からの予定です) どうでしょうか? まだ、よくわからない部分も多いので、今回はざっと見たところで気づいたところをとりあえず、紹介しました。 あとで、もう少しまとめてこのホームページにアップします。 |