新保険点数の怪〜厚生省はどうしたんだろう?〜

保険診療の小部屋の目次に戻る     医療機関は儲かったのか?

ほーむ


 
 厚生省はどうしたんだろう?

     〜うそつき? それとも脳がからっぽ?〜

 
 訪問診療をしている患者さんが床ずれをおこしたり、家で酸素吸入をしなくてはならない事態に陥ることがままあります。
 そういうときに、処置指導管理料や在宅酸素療法指導管理料が算定できていたのに、今回から算定できなくなりました。

 理由は
 中医協への説明では「従来通り。明文化しただけ」ということでした。

 でも、これは「うそ」なんです。
 1994年支払基金質疑応答では「算定できる」という回答でした。

 ところが、4年後ある県からの問い合わせに厚生省は
 199891日老健第119号(厚生省老人福祉局)で、「算定できない」という回答をだしました。
 従来と異なる扱いが、急に、何の検討も無しに出されたわけで、各方面から問い合わせや、抗議が厚生省に殺到しました。

 19981020日の厚生省老人保健福祉局からの事務連絡で、「先の老健第119号は、従前の例によることができる取り扱いとする」つまり、「今まで通り算定できる」ということに訂正しました。

 ところで、その15日前に「老人診療報酬ハンドブック第11版(98105日発行)」(厚生省老人福祉局老人保健課監修)が発行され、それに「算定できない」と書かれています。

 当然、これも訂正しなくてはならないのに、訂正しなかったため、
「今回の『算定できない』ということは、新たに決めたのではなく従来通りのことを明文化しただけ」と厚生省は言っているわけです。

 このことは間違っているわけで、その証拠に、97930日発行の同じハンドブック第10版には、同時に算定しているものとして、説明している個所があります。
(寝たきり老人在宅診療料を算定した場合、薬剤は算定できない事になっているが、経管栄養のための費用も算定できないのか、という問いに「寝たきり老人処置指導管理料を算定している患者であれば、在宅医療にかかわる薬剤料として算定する」と答えています)

 4月からの診療報酬の改定で0.2%医療機関の収入が増加したと、厚生省は言っています。

 しかし、こういうからくりのもとで、0.2%増加した、と言っているわけです。

 ちょっと考えて見れば、算定できないとなると、一人の患者で一月に11,000円から25,000円位減少します。年間では13万円から30万円位の減収です。
 年間1億円の診療報酬がある医療機関(利益が1億円ではない)が、今回の診療報酬改定で0.2%増とすると、20万円が年間で増えることになります。しかし、先の一人で13から30万円減収はもともと算定できないものとしているわけですから、こういう患者さんが三〜四人いたら、大幅な減収となるでしょうね。

  厚生省が ”従来と同じだ ”と「うそ」をついて算定できないことを前提としたために、マイナス改定になっていることは一目瞭然でしょう?

 うそじゃないっていうんなら、厚生省の頭の中を見てみたいものです。蜘蛛の巣がはってたりして。

 え? あまりにもひどいものいいですって?

 いえいえ、これでもおとなしいもんです。

 なにしろ、4月30日あるいは5月1日には4月分のレセプトを作らなくてはならないんですよ。

 それなのに未だ(4月24日現在)レセプトの書き方とか、新しい用紙が決まってないんです

 4月改定からもう三週間は過ぎているのに、それにレセプトを作る時期が近づいているのに、厚生省からレセプトの記載要領の通知が未だにでていません。

 こんなことで、正しいレセプトができるのでしょうか?