保険ルールの矛盾

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ほーむ

基本診療料について

 皆さんが病気になって医療機関で診療を受けると、初診料が算定されます。これは余り難しい問題はありません。ただ、初診料というのは初めて病院へ行ったときにだけ算定されるのではなく、前の病気が治ったり、治療を中断した後に受診したときも初診になります。

 さて、問題は再診料です。

 関西で、「病院で検査を受けたら検査料のほかに再診料もとられた。医者の診察は受けてないので払えない」と訴えた人がいて、結局「払わなくて良い」ことになったようです。

 これは、名称が「再診料」となっているからこういうことになるのです。
 再診料を算定しないと、レセプトの診療実日数がカウントされないので、レセプト審査員が「この病院では、診療実日数が1日なのに、こんなに検査をしていておかしい」と必ずクレーム乃至減点されてしまいます。

 再診料は、診察料ではなく医療機関利用料とでもすべきでしょう。だって、看護婦・事務員その他が検査だけに来た人にも応対してくれているでしょう?
 先ほどの訴えた人も、何の応対もなく検査を受けたのではないはずです。

 病院利用料の590円(病院の再診料)くらい、払ってくださいよ。(診療所の場合は740円)
   注:2000年改定で200床以上の病院は再診料は廃止され外来診療料700円となりました。
     一見値上げのようですが、尿や血液検査の一部がそのなかに含まれますので値下げでしょう。
         また3月までの特定機能病院外来診療料の900円も廃止になり、外来診療料700円となったので
         特定機能病院も200円ダウンということです。

 では、医師が診察したときはどうすべきか? 
 現行では、外来管理加算(420円)というのがありますが、これを診察料とすれば良いのではないでしょうか?
       注:2000年改定で外来管理加算は520円に値上げになりました。

 例えば整形外科等で腰痛で牽引療法を受けているとしましょう。牽引だけのときも、医師の診察も併せて受けたときも現行では再診料と牽引の点数だけで、同じ金額です。(再診料+牽引の点数
 やはり、診察を受けたときはそれなりの負担はあってしかるべきではないかと考えます。
 つまり、牽引だけのときは病院利用料だけ、診察を受けたときは診察料も加える、というのが合理的だと思うのですが。
病院利用料+牽引の点数の場合と病院利用料+診察料+牽引の点数

 昔は、再診料はなかったのです。
 どうしてか?
 日本の医者は、昔から薬をだしてお金を頂いていたのです。そういう風習が根強く残ってるんでしょうね。そういうわけで、保険制度ができたときは、再診料なんてなかったのです。

 じゃあ、経営はどうしていたのか、疑問でしょう?
 そうですね。おさっしのとおり、薬です
 当時は、薬の仕入値段が薬価の5分の1とか、10分の1なんていう時代でした。
 政府は、保険の診察料は少なく、そのかわり薬価は高く設定していたのです。
 当時は、医者も、患者サイドも「医者は薬を出す人」という考え方だったのでしょう。
 当然、技術に対する報酬という考えは希薄でしたから、
「ちょっと相談があるんだけど、○○の具合が悪いんだけど、どこへ行ったらいいか教えてもらいたい」なんて言ってくる患者さんに診察料を請求したら、先の人のように「払えない」って訴えるどころか、
「何で金なんて払う必要があるんだ! 
薬もらってないぞ!と怒鳴られちゃったでしょうね、きっと。
 医者もそういうことで代金を頂こうなんて余り考えてもいなかったと思います。
 今では、薬価と納入価の差は小さくなっており、0となるわけですから、物質ではない診察技術、判断能力などに多くの点数を与えて欲しいと思います。

具体例を見る。 2002/5/20