保険ルールの矛盾

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ほーむ

具体的な診療報酬の例
わかりやすい料金体系はどうあるべきか
2002年版

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 2002年4月診療報酬体系がかなり変更になりました。
 これは2000年4月の改定をさらにマイナス的に改定したものです。

 どのように変わったのか、
 あなたが診療を受けたとき、どのような料金設定になっているのか、
 簡単な例で説明しましょう。

 前回もとてもわかりづらいのですが、さらにわかりづらくなりました。

 さきに基本診療料について書いたように、診療点数の項目の名称がややこしいし、
 誤解を招きやすいものになっていますが、
 
2000年4月の改定では、さらに誤解されやすくなり、
 今回はそれが改められるどころか、さらにめちゃくちゃになりました。

 例を挙げましょう。
 慢性疾患で治療中の患者さんの例です。

 高血圧症で以前から通院中の患者さんの「診療内容のわかる領収書」を示しましょう。

 
  再診料
810円 *受診回数によって異なります。
 
 外来管理加算 520円
 
 継続管理加算 50円
 
 特定疾患療養指導料 2250円
 
 調剤料 90円
 
 処方料 420円
 

 特定疾患処方加算
150
 
 薬剤料
2800
 (*この部分は薬によって違います。
     1日100円の薬を28日分としました。
           たぶん、3月より5%くらい安いはずです
 
 薬剤情報提供料
100
  

 と記されていることでしょう。
 自己負担は、保険によりこの2割か3割です。(2003年4月からは社保本人も3割)

 どうですか?

 それぞれの項目がおわかりでしょうか?
 各項目を説明します。
 さらにややこしいことになります。

再診料 810

 
 医療機関を訪れて医療行為を受けたときに算定される料金です。この部分を「施設利用料」と項目名を変えたほうが現実的なのです。実際に、看護婦や受け付けなどの事務員との応対の費用も含まれているのですから。

 ところで、これはその月に初めての再診を受けたときの値段です。この部分は70円の値上げです。
 ところが、
 その月に2回目の再診を受けると740円です。
 その月に3回目の再診を受けると740円です。
 その月に
4回目以降の再診を受けると370円です。
 

外来管理加算
 
520円
 
 いったいなにを管理しているのか、私も良くわかりません。昔、薬価差益が大幅にあった時に、その差益を少なくするかわりに、内科などの問診や聴打診など物質でない診察行為の料金として作られたもののようです。
 従って、外来管理加算は「診察料」の意味合いが強いので、項目名を「診察料」としたほうがわかりやすいと思います。

 この点数は据え置きですが、
 月に4回受診すると260円と半額となります。
 

継続管理加算
 
50円

 
 2000年
4月から新設
 
これはいったい何だろうか?
 厚労省は「入院外の患者に対して、治療計画に基づき継続して再診を行った場合に、継続管理加算として1月に1回を限度として、5点を所定点数に加算する。ただし、初診料を算定する月は算定しない」と言ってます。
 なんだか、わかります?
 要するに、初診のあと、再診を何回か繰り返しているような場合は、翌月最初に受診した時には5点加算しなさい、ということです。患者サイドからいえば、「どういう趣旨の料金なんだ」となるでしょう?
 旧厚生省は、このままだと医療機関のダウンが大きいので、つじつまをあわせるために新設したわけですね。これに見合った具体的な診療行為はありません。
 

特定疾患療養指導料
 
2250円

 
「私の病気は『特定疾患』だったの? そんなに重病だったの?」と悲観する方もおられるかもしれませんね。
 実際は、厚生省が療養指導料を算定できる疾患を『特定』したからそうよんでいるのです。だから具体的には、高血圧症とか糖尿病とか胃潰瘍とか。ありきたりな病気なのです。で、そういう病気の患者さんを治療する上で必要な指導を行った時に月に2回算定するのが「特定疾患療養指導料」なのです。
 毎回、どんな具合か診察して、様子を聞いて、こんなことをしたほうがいいなんて話していても、月に2回だけしか算定できないのです。
 この「特定疾患療養指導料」は、薬価差益に頼らないでも医療機関がやっていけるように、という旧厚生省の暖かい思いやりで出来たのですが、これが出来た頃は、月に一度だけという時期もあったりして、「どうして今回は高いんだ」とクレームをつけられた医療機関も多かったようです。
 

調剤料 90円

 
「調剤料」は薬を何日分と整理して袋に入れるお値段。
 
90円です。
 

処方料 420円

 
「処方料」はドクターが処方する料金。2000年から
420円となりました。でも7種類以上処方すると(頭をひねってあれこれ考えて処方したにもかかわらず)290円。
「沢山処方したらダメです!」
ということですね。
 

特定疾患処方加算
 
150円

 
 特定疾患のときに処方すると算定する事になっています。但し月に
2回までですが。150円です。今回ではありませんが薬価差が少なくなったときに新設されたものです。特別の意味は無いようで、たぶん薬剤を長期間服用することになるので処方に気を配る注意料なのでしょうか。
 

薬剤料  
 薬剤の料金です。薬価で計算されます。厚生省は消費税を入れて薬価の98%で仕入れるのが適切である、と言ってます。100円の薬は何と2円も儲かります。
今回の改定で、さらに下がりました。
薬価差益なんてもう無いと思われます。
 
薬剤情報提供料
 
100円

 
 薬剤を処方するときにその薬剤の効能や効果、副作用や他の薬剤との相互作用を文書で(薬袋でもよい)説明した時に算定します。これも、薬価差が少なくなったときに代替としてできたものです。100円です。
 

 「継続管理加算」「特定疾患療養指導料」「特定疾患処方加算」
 
それに「薬剤情報提供料」は、
 もともと薬価差がなくなるかわりにいろいろ理由をつけて新設されたものです。
 だから、なにがなんだかわからないものや、
 算定にあたっていろいろなことをしなくてはならない制約を設けたりしたために、
 とても複雑なルールになってしまったわけです。

 今のままでの項目では、看護婦・事務員などの費用がどこに含まれるのか、
 よくわかりませんね。
 調剤料の90円は薬剤部門の料金であることはわかります。
 では、事務やら看護婦やらの費用はどこに?
 やはり、再診料の中でしょうね。
 だったら「医療機関利用料」としないと合理的ではないでしょう。

 また、私の所では看護婦も一緒に指導を手伝いますので
 「特定疾患療養指導料」の中に看護スタッフ料が含まれるかも知れませんが。
 其の他には名目がないですね。