レセプト審査の実態

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ほーむ

 ◎レセプトの審査は誰がしているのか。

     国保の場合は各県の国民健康保険団体連合会で、審査員に選ばれた医師(医師会推薦・国公立
   病院の医師・学術経験者)によって医学的な審査がなされ、事務員によって、事務的な審査がなさ
   れます。
    事務的な審査では、再診料や初診料の回数と、診療実日数との整合性や点数の間違いや計算ミス
   がないかどうかをチェックします。

    社保の場合は各県の社会保険診療報酬支払基金で、国保と同じように選ばれた医師(国保とは
           別の医師ですが)と、やはり事務担当によって同じように審査がなされます。

 ◎同じ医師仲間じゃ、いいかげんな審査じゃないのか?

     どういうのを「いいかげん」というのかですが、見ているレセプトについては、その審査員
   なりにしっかり見ていると思いますよ。 厳格すぎる場合もありますが。
    厳格ならいいじゃないのとお思いでしょうが、これが違うんですね。
    以下に、如何に医科の審査がなされているのか、我が診療所の例と、知り得た例を挙げて検証
   しましょう。

 ☆「糖尿病」と診断した初診の患者さんに、
  心電図の検査をしたら減点された。

   これは、当院の例ではないのですが、こう
  いうことは、よくあります。
   血液検査や、尿の検査をして、心電図を
  検査したら、その点数(150点=1500円)
  を審査で削られたという、会員からの訴え
  です。「糖尿病」と病名欄に記してレセプトを
  提出したら、「糖尿病で心電図は過剰である」
  という理由で減点されました。

  これの解説は右欄に書いてあります。
   *実は、これは審査をパスしたのに
    保険者が点検して、再審査にかけ
    られて、減点されたものです。

 
 このことは [保険者はこんなことをしています]
  で触れます。
       
  これは、審査をした先生が、糖尿病について
 余り、詳しくなかったのでしょうね。

  私が審査員だったら、無条件でパスです
 そもそも、糖尿病はどういうわけで治療しなくて
 はならないのでしょうか?
  医者以外の方も見てると思いますので、少し
 説明しますと、別に、オシッコに糖が出たからと
 いって治療する必要はないんです。
  ただ、血糖が高いと、将来合併症が出現する
 ことになり、それが致命的になるから、そうなら
 ないように治療するわけです。

  心筋梗塞・脳梗塞などの血管障害、網膜症・
 腎症などの微小血管障害を未然に防ごうという
 のが、糖尿病の治療の目的なのです。

  ですから、心電図は初診の時に検査しておき
 なんらかの症状が出たときに、初診時のそれと
 比較することが大切になるのです。
 どうです、おかしな減点でしょう。
☆「肺炎・急性気管支炎」で、抗菌剤(常用量
   200mg)を1.5倍の300mg使用したら、200mg
  に減点された。
  
これも、当院のことではありません。
  
薬剤の添付文書には適宜増減と書かれていま
 す。この薬剤の場合は、通常200mg使用すること
 になっていますが、症状が重い場合はこの程度の
 増量(常用量の1.5倍)は認められています。
  結局、審査側では「再審査請求して下さい。
 この例では使用しても問題ありません

 ということになりました。
  これは、新しく審査員になったばかりの先生が
 審査されたもので、よくルールをご存知なかった
 のだそうです。
  ルールをよく知らない審査員!はこまりもの
 ですが。
  まあ、よく勉強していただきたいものですが。
 このように、レセプトはかなり細かく
見ている
 ものなんです。
   ね、馴れ合いではないでしょう。