保険者はこんなことをしています。

保険診療の小部屋の目次に戻る

ほーむ

  国保の場合は市町村の保険の担当係が、社保の場合も各保険組合の担当係がレセプトの点検をします。
  まあ、あたりまえですが。
  ところで、実際は、そのレセプトを外部へ依託して点検しているのです。
  あなたの病名が書いてあるレセプトが、外部へね。
  「まあ、そんなことはどうでも良い。間違いがチェックできればね」 と、いうことも出来ます。
  そのことは、否定はしません。 このことは 「W 不正請求とは」 に書きます。
  ところで、以下のようなこともあるんです。 ご存知でしたか?
本院の例
 1999年4月に発熱・下痢・嘔吐で治療した例です。
 感染症が考えられ、抗生剤を使用したかったのですが、嘔吐・下痢がありしかたないので、注射で投与しました。

 2000年1月に減点したと支払基金から通知がありました。

 この例は、一次審査で通ったものを、保険者でチェックして、再度国保審査に戻されて、減点されたものです。

 病名が「発熱・嘔吐・下痢を伴う感染症」であったため、適応外とされたものです。
          (右横の欄も見てね)

 市町村や社保保険者が外部に委託して
 レセプトを点検する際に、
単に「病名」と「検査あるいは薬剤」とを照らし合わせて
「適応症にない」という理由で、減点を要求してくるのです。

 左の例も咽頭炎なら適応だったのですが、この病名ではダメなのです。

 しかし、薬効からは認められて当然です。
 吐いたり下ったりしているのに、どっから薬を投与したらいいんだって、いいたくなりますよね。  

 このクレームをつけた保険者は社保の、ある共済組合です。
 今度、その保険の患者さんが受診されたときには、
「おたくの保険は、薬効による薬の使用を認めてくれないんです。減点されましたよ」と話そうと思っております。
dある保険者のずるい手口(1)
 
 
ある診療所で、十数枚のレセプトが減点されました。
 いづれも同じような項目の減点でした。
 納得がいかなかったため、再審査を請求しました。
 その後、1年以上たっても何の音沙汰もありませんでした。
 不審に思って、支払基金(社保)に問い合わせましたが、さらに10ヶ月も返事がなかったそうです。
 基金にさらに問い合わせたところ、
 「保険者がレセプトを紛失した」という返事がありました。

  この診療所はたいそう腹をたてています。
  なぜなら、他の保険者のレセプトは、
  いいぶんが通って、点数が復活しました。
  ある保険者だけが基金にレセプトを送り返してこないので、
  復活できないでいるのだからです。

  何を言ってるのか、意味がわかりませんか?

  つまり、ある治療をしたところ、
  審査で「不当である」として減点されたのですが

  ドクターが、「いや、正しい治療である」と主張したところ、
  「審査が間違っていました。点数を復活させます」
  ということになりました。

  ところが、ある保険者は、基金の要請にもかかわらず、
  レセプトを送り返さないで何ヶ月も放っておいたのです。
  あげくのはて、「紛失しました」と、言ったのです。
  この東京の保険者はこういうことの常習犯だということです。

  ちょっとおかしなこういうことは、良くあるみたいで、
  そういえば、私の診療所でも、
  復活請求してもう何年もそのままというのがありますね。
  どういう返事もらったのか、記憶に無いし。(単なるものわすれか??)

     ちょっとだけ「蛇足」があります。

「蛇足」 
 この東京の保険者はこういうことの常習犯だそうです。
 基金で審査を終えたレセプトは各保険者へ送られます。
 医療機関から「審査が不当だ」と再審査請求がくると、
 送ったレセプトを保険者からとりよせて再度審査するわけです。
 このとき、知らん顔をして、レセを送り返さない保険者がいるのです。
 そのうち、うやむやになるだろうと思っている「確信犯」です。
eある保険者のずるい手口(2)
 
 私の診療所に、5月2日、社会保険支払基金からレセプトの減点の通知が来ました。
 減点の通知なんてちっとも驚きません。憂鬱になりますが。

 で、中身を見たらば、何と! 驚くじゃありませんか。
              やっぱり驚いたじゃないって? まあ聞いて下さい。
 なんと、昨年の5月請求分から9月まで同じ患者さんの同じ項目が減点されているんです。
 「慢性疾患指生活導料」424点(4240円)が、づ〜っと減点。
 なんとまあ、2万円余りも減額されたのです。

 お前が悪いんだろうって? そうかもしれません。
 でも、間違いは誰にでもあります。
 間違いを正すチャンスをくれたっていいと思いますがね。

 ええ、「慢性疾患生活指導料」というのは、どういうのかっていうと、前で説明したように

 薬で利益を得なくてもすむように、慢性疾患の患者さんの診察料みたいな性格があるんです。

 ところが、この患者さんの病名「逆流性食道炎」は慢性疾患生活指導料の算定できる疾患のなかには、入ってないのです。

 「慢性胃炎」「胃潰瘍」は算定できるのですがね。

 だったら、やっぱりびっくりするお前が悪いんだよって?

 でも、逆流性食道炎という病気を治療するには、胃の治療をするんです。
 胃酸を抑える薬剤と、胃の蠕動運動を調節する薬を使うんです。
 胃ファイバーで検査すると、胃の粘膜にビランなどの胃粘膜の病変が伴っているんです。

 だから「慢性胃炎」があるので算定してもいいじゃない、というのは詭弁でしょうか?

 この患者さんは、実は、数年前にも同じ疾患に罹患して、半年くらい治療しました。
 この時は、「逆流性食道炎・ビラン性胃炎」という病名でした。
 その後一年ほどして再発した時に、「ビラン性胃炎」という病名を書き忘れたのです。

 で、腹が立っているのは、もっとはやく、
 「逆流性食道炎」では「慢性疾患生活指導料」が算定できませんよ、と減点したらいいじゃないですか。
 それを、一年も経って、まとめて減点したのです。
 そうです、訂正するチャンスをくれないんです。
 この保険者は有名な家電メーカーの保険者です。
 このメーカーの製品なんて、私は、金輪際、買いません。

 
(その後、医師会の関係で、そのメーカーのノート型PC購入してしまいました。たいそう重宝しています!?)

 一年も経って減点していいのか? 厚生省の言い分は? 下の欄をご覧下さい。

 昭和60430日保険発第4045号に社保、国保それぞれに

「再審査の申出は原則6ヶ月を遵守するよう努められたい」

 とういう文書があります。

 厚生省からの文書です。

 ところが、支払基金では、担当者がしょっちゅう交代するためか

法律的には、10年間再審査請求する権利がありますが、
 紳士協定で
6ヶ月にしましょうということになってます」

 なんて言ってるんです。

 上記文書は「知りません」ということでした。

 次回の保険委員会で文句を言ってやる!

 と、思っています。

同一月に同一患者に同一医療機関から複数のレセプトが!?f

 これは、不正請求でしょうか?

 答えは、「いいえ」です。

 ある月に2度受診した患者さんがいます。
 慢性疾患で、通院している方です。
 所帯主の勤めの関係で、保険証が変わりました。
   
 保険証が月の半ばで変更されたので、
その月の初めの受診は前の保険証のレセプトで請求し
 2回目の診療は、新しい保険証で請求したのですが、
これは正しいやり方です。
 当院でも、そうしています。
  
 ところが、その医療機関は、以下のような文面と、
診療費の全面的減点の通知を受け取りました。
 1枚のレセプトに対しての付箋には、
 重複請求  
 請求理由:請求先等チェックの係りの方は
    いらっしゃるのですか。

      
かなり図々しいと思います。

 2枚目のレセプトの付箋には、
 請求理由:いったいどういうつもりでしょうか。
    甘く見るのもはなはだしい!

      
請求する際のチェックはしっかり
    やっていただきたい!

 と記載されていました。(赤字で、上記のように大きな字で)

 その医療機関のドクターは、かなり立腹されて、
県保険委員会へこの事案を提出しました。

 月半ばで、保険証が変更になることは、まれならずあるわけで、
 この場合は、老人医療であったので、社保も国保も老人保健を経由するため
 そこでのチェックで、こうなったのでしょうか。

 良く見れば、保険証の番号が異なるレセプトだと分かるはずだし、
 それこそ、
  
審査する際のチェックはしっかり
  やっていただきたい!

 こういうことは、なぜ起きるのか。

 医者の人間性は最低=ゴルフと愛人にうつつをぬかす
          =おなか出ている

 従って、
 医療機関からのレセプト=不正請求だらけ
            =間違いはすべて故意

 なんていうステレオタイプなイメージを
今まで、マスコミが作り上げてきたので
 レセプトをチェックしていた係員が、こんな暴言を書いたのでしょうね。

 医者だって、この社会に生活している人間が医者になるのですから
 この社会に変な人がいるのと同じで、
 不正請求をしたり、まともでない医者も確かにいるんですがね。

 この事例は、2000年10月25日の栃木県保険委員会で出されたものです。