eある保険者のずるい手口(2)
私の診療所に、5月2日、社会保険支払基金からレセプトの減点の通知が来ました。
減点の通知なんてちっとも驚きません。憂鬱になりますが。
で、中身を見たらば、何と! 驚くじゃありませんか。
やっぱり驚いたじゃないって? まあ聞いて下さい。
なんと、昨年の5月請求分から9月まで同じ患者さんの同じ項目が減点されているんです。
「慢性疾患指生活導料」424点(4240円)が、づ〜っと減点。
なんとまあ、2万円余りも減額されたのです。
お前が悪いんだろうって? そうかもしれません。
でも、間違いは誰にでもあります。
間違いを正すチャンスをくれたっていいと思いますがね。
ええ、「慢性疾患生活指導料」というのは、どういうのかっていうと、前で説明したように
薬で利益を得なくてもすむように、慢性疾患の患者さんの診察料みたいな性格があるんです。
ところが、この患者さんの病名「逆流性食道炎」は慢性疾患生活指導料の算定できる疾患のなかには、入ってないのです。
「慢性胃炎」「胃潰瘍」は算定できるのですがね。
だったら、やっぱりびっくりするお前が悪いんだよって?
でも、逆流性食道炎という病気を治療するには、胃の治療をするんです。
胃酸を抑える薬剤と、胃の蠕動運動を調節する薬を使うんです。
胃ファイバーで検査すると、胃の粘膜にビランなどの胃粘膜の病変が伴っているんです。
だから「慢性胃炎」があるので算定してもいいじゃない、というのは詭弁でしょうか?
この患者さんは、実は、数年前にも同じ疾患に罹患して、半年くらい治療しました。
この時は、「逆流性食道炎・ビラン性胃炎」という病名でした。
その後一年ほどして再発した時に、「ビラン性胃炎」という病名を書き忘れたのです。
で、腹が立っているのは、もっとはやく、
「逆流性食道炎」では「慢性疾患生活指導料」が算定できませんよ、と減点したらいいじゃないですか。
それを、一年も経って、まとめて減点したのです。
そうです、訂正するチャンスをくれないんです。
この保険者は有名な家電メーカーの保険者です。
このメーカーの製品なんて、私は、金輪際、買いません。
(その後、医師会の関係で、そのメーカーのノート型PC購入してしまいました。たいそう重宝しています!?)
一年も経って減点していいのか? 厚生省の言い分は? 下の欄をご覧下さい。
昭和60年4月30日保険発第40号45号に社保、国保それぞれに
「再審査の申出は原則6ヶ月を遵守するよう努められたい」
とういう文書があります。
厚生省からの文書です。
ところが、支払基金では、担当者がしょっちゅう交代するためか
「法律的には、10年間再審査請求する権利がありますが、
紳士協定で6ヶ月にしましょうということになってます」
なんて言ってるんです。
上記文書は「知りません」ということでした。
次回の保険委員会で文句を言ってやる!
と、思っています。 |
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